お寺の未来ブログ

「未来の住職塾 本科」学びのエッセンス 第1回

2013年10月18日

■ ご挨拶

いつも活動を応援くださり、ありがとうございます。
未来の住職塾、塾長の松本紹圭です。

お寺の未来ブログ、スタート!ということで、
まずは私たちの活動の原点といえる「未来の住職塾 本科」の現場から、
学びのエッセンスをお届けします。
未来の住職塾が初めての方にはその雰囲気を味わっていただきたく、
卒業生の方は復習やモチベーション向上のために、どうぞお読みください。

 

■ 今、なぜお寺に経営が必要か?

昔から変わらない象徴と扱われがちなお寺ですが、これまで数百年の歴史を生き延び
てきたのは、時代に合わせて柔軟に運営のあり方を変えてきたからです。

現代のように不安定で先の見えない時代には、ものすごいスピードで進む環境変化に
適応することが不可欠です。今までお寺がやってきたことをそのままやれば大丈夫と
いう時代は、すでに過ぎました。
今や、過去の延長の活動を繰り返すことが、最も危険な選択肢でもありえます。
ところが、「一切は移ろい、変わらずにあり続けるものなど何一つない」という諸行
無常を説くはずのお坊さんの多くが、「変わらないお寺」という現状維持への執着を
捨てられずにいるのもまた事実。しかし、過去の重みを背負うと同時に、明るい未来
を切り開くこともお寺の務めではないでしょうか?

加速度的に社会が変化し、人々の生き方もその影響から逃れられない今こそ、土地に
時間をかけて根付き、人々の生き方を見つめ続けてきたお寺という場が、長期的な視
野で地域社会のビジョンや人々の生き方・ライフスタイルを創造・発信するときでは
ないでしょうか。

■ 未来の住職塾とは?

「未来の住職塾」では、
・お寺の本分とは何か
・過去を見つめ、未来を切り開くためにお寺がなすべきことは何か
・お寺の運営を預かる住職や寺族はどのようにあるべきか
という問いを徹底的に追求します。

お寺の護持発展に意欲的な住職ほど、月参り・法事・葬儀等の法務に加え、日曜学校
や文化イベントなど幅広い活動に忙殺され、目先の仕事をこなすことで精一杯。お寺
の活動全体を見直し、原点を問い直す機会はほとんどありません。様々な活動がバラ
バラの点として散在し、価値の柱を見失っている状態です。
そうなると、日々をあくせくと忙しく過ごしながらも「自分のやっていることはこれ
でいいのだろうか?」と不安が常につきまとい、大切な一歩が踏み出せません。この
ように、バラバラ状態のお寺の活動を体系的に整理し、一つのビジョンに統合して新
たな価値を創造するのが、「未来の住職塾」の役割と考えています。

■ お寺が活かすべき価値とは?

私たち未来の住職塾にとって「お寺の運営」とは、単なる寺院活性化や経済力向上で
も、闇雲に新しいことを始めようということでもありません。必要なのは、今日まで
お寺が人や社会に対して生み出してきた価値を再評価し、良いものには磨きをかけ、
ないものは創造することです。

価値とは何か?
そのヒントに「3つの価値の軸(ジョージ・デイ)」の考え方があります。
あらゆる商品・サービスで、顧客に最も大きな価値を提供する3つの価値の軸が、
1.質や機能の価値
2.価格の価値
3.関係性の価値
です。世のいかなる事業でも、この3つの軸をそれぞれ一定の水準を保ちながら、強
みをさらに伸ばすことが求められます。

では3つの軸のうち、お寺はどれを伸ばすべきでしょうか? 一般に、お寺にとって
特に重要なのが「3. 関係性の価値」と考えられます。
檀家寺は、先祖代々のお付き合い、月参りや折々の法要等を通じて、檀信徒と深くて
長い信頼関係を結びます。これこそ企業や他宗教が簡単に真似できない、地域に根付
いた檀家寺の大きな強みです。
3つの軸の中でも、特に関係性の価値を伸ばす組織が最も長きに渡って繁栄を続ける
とも言われます。お寺が長い歴史を生き抜いてきた理由はここかもしれません。

また、バブル崩壊後から3.11の震災を経て、人としての本質的な生き方・心のあり方
が見つめ直され、仏教本来の心豊かな生き方へのアプローチが注目されています。
生き方・ライフスタイルを見いだす場としてお寺が役割を新たにするためにも、関係
性の価値というお寺固有の強みを活用しましょう。

このように、未来の住職塾は最先端の経営学をお寺向けに翻訳し、お寺の存在意義を
探求します。皆の知恵を合わせてお寺の新しい価値を創造するため、講義だけでなく
グループワークやディスカッションも充実。参加者がお互いの刺激によって主体的に
答えを探求し、自覚を高める場作りを大事にしています。宗派を問わず全国から集う
意欲的な仲間とお寺の「本当に大切なこと」を話し合う体験は、得難いものです。

過去を守る場から、未来を創る場へ。
全国に広がる未来の住職塾の教室で、今日もお寺の未来が開いています。

(松本紹圭)